災害への究極の備え:自宅の庭に「10万円で井戸を掘る」という選択と、その意外な現実
千葉県のrioさま(rio.st)より届いた、魂の完工レポート。富士山噴火のリスクを見据え、物理法則とデータ、そして家族の絆で「命の水」を確保した2ヶ月間のドキュメンタリー。
「どれほど備蓄を積み上げても、それらは常に有限です。生命維持に最も欠かせない水を、外部インフラに頼らず持続的に確保する方法はないか。」――rioさまが辿り着いた答え、それが「自力での井戸掘り」でした。
井戸掘りプロジェクトを成功に導いた「5つの真実」
データなしの掘削は「無謀な賭け」である
rioさまが「矢太郎Pro」を選んだ最大の理由は、道具以上に「専門家のアドバイス」という無形の資産でした。ホウワ提供の地層データから帯水層を5mと特定し、標高差を計算して目標深度を6.6mに設定。論理的な裏付けこそがDIYを成功させる土台となりました。
「掘削深度や帯水層の判断は素人には難しい。専門家のアドバイスが極めて重要」
物理の壁:手押しポンプは「8m」が限界
「トリチェリの真空の式」が示す通り、理論上の吸い上げ限界は10.33m。しかし現場での気密性を考慮すると、実用的限界は約8m。この物理的制約を知ることで、確実な設計が可能になります。また、千葉県の条例を精査し、手押しポンプが規制対象外であることも確認済みのスマートなアプローチです。
本番は掘った後。「1.5立米の砂」との死闘
「水が出てから7,000回漕げ」。その言葉通り、汲み出しを始めると大量の砂が噴出しました。排出された砂はなんと1.5立方メートル!庭が水浸しになるのを防ぐため、急遽塩ビ管で排水ラインを増設。井戸掘りの本質は、穴掘りではなく「排水管理と砂の処理」にあることを痛感する工程でした。
文明の利器「エンジンポンプ」の劇的効果
当初こだわった手押しポンプの負圧には「ゆらぎ(脈動)」があり、濾過層をかき混ぜてしまうという発見がありました。一方、エンジンポンプ(工進 SEV-25L)を投入したところ、安定した負圧により、わずか5分で水が澄み渡るという結果に。科学的特性を理解した柔軟なツール併用が成功を加速させました。
「煮沸すれば飲める」という確固たるエビデンス
千葉県薬剤師検査センターへ21項目の水質検査を依頼。大腸菌、重金属、硝酸態窒素など有害物質はすべて適合(クリア)。一般細菌は検出されたものの、「煮沸すれば確実に飲料水として使える」という科学的証明を得ることに成功しました。
プロジェクト総予算:100,052円
※10万円で「命のインフラ」を私有化するという、極めて知的な投資。
