【導入事例】地域防災の新たなモデル
500万円の壁を16万円で突破!
学園大和町3丁目自治会が実現した「共助の防災井戸」物語
奈良市学園大和町3丁目。ここで今、全国の自治会から注目を集める画期的な取り組みが行われました。市管理の公園に自治会自らが防災井戸を設置するという、市内初の試みです。このプロジェクトを牽引した自治会長・浜口哲郎さんの想いと、井戸がもたらした驚くべき変化について詳しくご紹介します。
【活動の背景と決意】震災の教訓を未来へ繋ぐ
浜口哲郎さんが自治会長に就任したのは2024年4月。「退職後は地域社会に貢献せよ」という父の教えを胸に、コロナ禍が落ち着いた時期に大役を引き受けられました。
浜口さんの防災への強い想いの裏には、身近な人が経験した震災の記憶があります。妹様が阪神大震災で被災し、他の親族も東日本大震災を経験。その教訓から、就任早々に地域の避難場所である三碓小学校の現状を確認したところ、収容人数や避難経路に課題があることが浮き彫りになりました。
「自宅避難」を基本方針とし、ライフラインに不可欠な「水」を確保する。
この決断が、防災井戸整備への第一歩となりました。
【井戸設置への道のり】500万円から16万円への大転換
当初、井戸掘削の見積もりを取ったところ、その額は実に500万円。あまりの高額に一度は断念しかけました。しかし、そこで諦めない情熱が道を切り拓きます。
「約16万円で掘れる工法」との出会い
低コストで実現可能な工法を見つけ出したことで、プロジェクトは一気に加速。自治会員全員の同意を得て、ついに掘削が決定したのです。
【まちの変化と手応え】井戸一本でまちがつながる
このプロジェクトがもたらしたのは、水だけではありませんでした。「井戸掘り」をきっかけに、住民の意識に劇的な変化が生まれたのです。
- 活発な対話:工事会社の選定や水の運搬、管理方法について、住民同士で積極的な意見交換が行われました。
- 自主的な守り:工事当日は防犯パトロールのメンバー約20人が見守り、現在も自主的なポンプの見回りが行われています。
「井戸一本でまちがつながるようになり、驚いた」と、浜口さんは手応えを語ります。
奈良市長も絶賛。「共助型防災」のモデルケースへ
完成お披露目セレモニーでは、住民や仲川元庸市長ら約60人が参加し、テープカットで完成を祝いました。市が管理する公園に自治会が井戸を設けたのは「市内初のケースではないか」と仲川市長も高く評価しています。
市長はさらに、「市内550カ所の公園にも広げる支援制度を検討したい」と述べ、この取り組みが市全体の防災施策に大きな一歩を与えたことを示しました。
井戸の仕様
直径5cmの鉄パイプを打ち込み、地下5.5mの砂れき層にある水脈に到達。昔ながらの手押しポンプで、災害時でも電気を使わずに汲み上げることが可能です。
地域の反応
ポンプを操作した地元小学生からは「水が出て楽しい!」との歓声。浜口会長は、安全を願って居合を披露し、式典に華を添えました。
【今後の展望】井戸を囲み、笑顔が溢れるまちづくり
水質維持のためには定期的な汲み出しが必要です。浜口会長はこれを活かし、「子どもたちが遊べるお祭りやイベントを考えたい」と計画しています。井戸を単なる防災設備に留めず、大切に使う仕組みを通じて「皆が明るく元気で楽しめるまち」を目指しています。


